同業の会社としては、オーロラ社が鉱山を所有しているが現在、その鉱山は稼動していないようである。
(2011年3月末時点)
またここ数年で新たなアンモライト鉱山を開発したパンジアフォッスル社は現在までに10エーカーの採掘を行い、クオリティーの高い原石を産出している。
コーライトインターナショナル社(カナダフォッスル社)は現在一箇所11エーカーのうち4エーカーを採掘中である。やはりアンモライトを発掘するメーカーとしてはカナダ最大であり、その地位は現在のところゆるぎなく安定しているといえる。
採掘においては、このあたりの土地の先住民族であるブラッド族(先住民との契約はブラッド族の中の渉外部署であるカイナーグループ(Kaina Natural Resources)と交渉することにより、土地の貸借についての契約を行わればならず、その契約期間の長さは、契約内容により異なる。
コーライトインターナショナル社(カナダフォッスル社)は平均して一年間に約3から5エーカーを採掘する。アンモライトの鉱山はすべてオープンピット(露天掘り)であり、まずはドリルで70フィート(約21メートル)ほどの穴を開けて岩の質を調べる。そして掘り進めていくのであるが、どのようなとき掘り進めるのか、,又中止して他にに移るのかは、企業秘密なのでここでは明確に明かすことはできないが、その長年の経験に基づき、効率よく鉱山を開発しているのである。
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研究所の調査に常に協力をいただいている鉱山 スタッフ。おおらかな気性のナイスガイ達である |
現在採掘中の鉱山の地質やアンモライト原石 のクオリティについてスタッフと議論を重ねる |
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ベントナイトの層(指でさされた方向) |
アンモライト発見の示準層であるベントナイト |
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上図の赤矢印のベントナイト(bentonite)層の上9〜12mが、「K-zone」と呼ばれるアンモライトが発掘される層で、ベントナイト層から下に80m程度いったところが「Zone4」と呼ばれ、この層からもアンモライトが発掘される。このように、セントメリーズ川の川崖にも現れているベアパウ層の中のこのベントナイトの層(the double-ashed layer)はどのあたりにアンモライトが含まれる地層であるかを指し示す基準となっている。
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アンモライト鉱山発掘の様子 |
シャベルカーの力で岩を砕く |
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虹色の輝きを岩から発見した鉱山スタッフ |
崖が崩れてこないようにシャベルで上を押さえる |
アンモライトの発掘自体は、天候により非常に危険な作業を伴うが、フィールドオペレーションマネジャーのレネ氏いわく、今までに重大な事故は一度もないと自負する。 作業自体はシャベルカーを運転する人間も含め、3人がセットになって安全を確認しながら行う。アンモライト原石の虹色の一部分をわずかにでも発見したら、機械を止め、手作業にて発掘作業を行う。
掘削機を使うことで商業的に十分なアンモライトを掘り出すことが可能であるが、手堀りのみの場合は、十分な効果が得れないであろうことは容易に想像できる。 今後の課題としては、いかに効率よく重機をオペレーションして、五感を研ぎ澄まし貴重な化石を粉砕しないよう発掘を丁寧にすることが求められるであろう。
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煌くアンモライト片を発見! |
アンモライトの閃光に目を光らせる |
アンモライトのわずかな閃光が見えたら周りを壊さないようにアンモライトの全体像(大きさ)をつかむ。そして繊細な作業により、少しでも壊れないようにアンモライト原石を掘り出す。但し、まったく欠けのない美しいアンモライト原石(アンモナイトが生息していた時の形のまま破壊されずに化石化している原石)を見つけ、掘り出すことは難しく、そのような原石がもし発掘された場合、かなりの高額で取引されることになる。
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細かな作業はタガネとハンマーで行う |
Magrath Sandstoneゾーンの少し下あたりの層 |
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Aグレードのアンモライト片 |
グリーンが美しいアンモライト片
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ジェムマテリアルのアンモライト破片を発見! |
今回発掘されたジュエリー用クオリティ破片
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右上の大きめのアンモライト破片は、A+レベルのグレードが期待されるジェムクオリティを持つと思われる。寡黙に仕事をこなす男達は、クオリティーのいいアンモライトが発見されると、少しだけ口元に笑みを残し、また満足げに作業場に戻っていく・・・・。
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発掘中の鉱山を後にした我々は、次に現在では閉山したOxbow mine(旧鉱山)の跡を見に行くことにした。行き道の
ぬかるみに車のステアリングがとられ、抜け出すのに20分ほどがかかってしまうほどのコンディションがよくない道。4WD車にもかかわらず、タイヤが空回転してまう現象に一瞬焦りを感じました。そしてやっとたどり着いたその風景は意外なものであった。
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旧鉱山に向かう途中の道(広大な平原が続く) |
入り口には立ち入り禁止の看板とロックが・・・・
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現在は閉山となり、その後、元通りの環境に戻さ れた旧鉱山の跡だが傷跡は全く見当たらない。 |
今回の取材にあたり鉱山の詳しい話を語ってくれた オペレーションマネジャーのレネ・トゥーデル氏
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鉱山らしき跡が全く見当たらないのである・・・・・。アンモライト鉱山として採掘し尽くした後(もう採掘しても出ないと判断したあと)は、もともとあった自然環境に戻すという。 この取り決めは、先住民族の方たちへの礼儀でもあり、彼らの神聖な土地を使用させてもらったお礼に、上に生えていた雑草の種類までを以前と同じく復活させるのである。したがって、地中を掘るときも、その地層の存在した順番に土を保管しておき、埋めるときはその順番で地中に返すのである。まさに自然を畏敬するカナダらしいやり方である。
最後にカナディアンの地球の宝物に対しての礼儀を垣間見たところで、すがすがしい気分になり、鉱山をあとにした。
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左上の写真の周辺の土地も入ったパノラマ写真【元通りの環境に戻されたOxbow mine(旧鉱山)の跡】 |
なお、Bearpaw【ベアパウ層】(アンモライトが採掘される地層)の地層構造及びどの層からどの種類のアンモライト原石 (Placenticeras meeki,Placenticeras intercalare,Placenticeras Costatum)が採取されるかなどの詳しい解説は、鉱物・化石の専門誌「ミネラ」No.13(4月15日発売) に掲載予定ですので、よろしければそちらも参照していただければ幸いです。 |